久米屋の蔵サウナ

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スモークサウナと蔵が合体!?

久米屋のサウナは南エストニア、ヴォル地方の伝統的な「スモークサウナ」にならって計画しています。まずは空間配置。ヴォル地方のスモークサウナは母屋から少し離れた所の水辺の傍にあります。ある時、集落内を散歩していると母屋から水路を挟んで建っている「蔵」を発見しました。
「とても似ている!」
他にも、いろいろ調べるとヴォルと中右手は森林に囲まれた自然環境、雪が良く降る冬の気候など類似点がとても多いということが分かりました。北欧の伝統的な風景と日本の山間部の風景がシンクロしたことにより、「蔵」から「蔵サウナ」へのコンバージョンが生まれました。

里と山に調和する平面計画

南エストニアのヴォル地方のスモークサウナを細かくリサーチした本『オールドスモークサウナ 著 中山眞喜男 』によれば、サウナの大きさは5m x 5m以内の小屋の中でレイアウトされています。日本の蔵のサイズもだいたいこれくらい。久米屋の蔵は5m x 4mの空間です。

この蔵を2つに分けて、サウナ室とくつろぎスペースを計画しました。サウナ室は薪を熱源とした蓄熱式ストーブの周りに7人程度が座れるベンチを配置。テレビもない、明かりも最小限に。暗闇の中で目を閉じて聞こえるのは川のせせらぎや鳥の鳴き声だけです。

蓄熱ストーブ

オリジナルの蓄熱型ストーブ

よく勘違いされるのですが、蔵サウナはスモークサウナではありません。スモークサウナといえば煙突がないタイプのサウナを指しますが、蔵サウナには煙突があります。 ストーブには薪焚き式の蓄熱型ストーブを採用しており、充分に時間をかけてサウナストーンを熱した後、蓋を開放し室温を上昇させます。このストーブはアトリエ・ナカウテによるDIY施工によって作られたオリジナルのストーブです。

熱の生産と消費に時間差がある蓄熱型ストーブの性質を利用して、蔵サウナでは火を起こして熱を生み出す時間とサウナでくつろぐ時間を分けて運用しています。4~5時間ゆっくり室内を温め、火が消え切った後の余熱でゆっくり入浴するサウナとなっています。

蔵サウナの水風呂の仕組み

山の地下水で水風呂とロウリュウ

サウナ室を出れば正面に水風呂。暖まった体を山水から引いた、キンキンに冷えた水風呂が体を冷やしてくれます。

ナカウテには公共インフラが整う前から、住民たちで作った共有の水場が山の中腹にあります。雨や雪が山の地中で浸透され湧いて出てきた山水。この水が村自慢の濾過システムにより更にきれいになって蔵サウナの水風呂まで運ばれます。この水風呂は年間を通して安定して供給され、地下水であるため水温は常に一定

サウナ内で使うロウリュウもこの山水を使い、澄み切った蒸気と山で採取してきた植物のアロマの香りが体を包んでくれます。

火焚きおじさん

ナカウテには火焚きの達人、「火焚きおじさん」が数名います。 気温や湿度、薪の乾燥具合、前日に利用したサウナ室の状況を見ながら薪の量を調整し、最高の状態でサウナを準備、お出迎えいたします。 

火焚きおじさんは火焚き中の4~5時間、読書やクロスワードをしたり、「森のトトノイイス」を乾燥させたり、燻製料理を作ったりとそれぞれの火焚きおじさんスタイルでこの時間を楽しみます。

チェックインの時、村自慢の蔵サウナ製作秘話とナカウテの小話をするまでが火焚きおじさんの仕事です。

暮らしの中にあるサウナ

暮らしの中にあるサウナ

暮らしの中にあるサウナ

南エストニア、ヴォル地方のパブリックサウナを参考にして作られたナカウテの蔵サウナ。この施設ができて以来、30人が生活する集落に年間300人近くの人が訪れるようになりました。

このことにより、ナカウテにある変化が生まれたのです。それは、住民の憩いの場所であった(通称)鹿ハウスはゲストと共に囲炉裏を囲んで団欒を楽しむコミュニティの場に。集落内を散歩すれば自慢のプライベートガーデンでお花を採らせてくれたり、野菜を分けてくれたり、作業場所がそのまま宴会場になったりと、今まで身内だけで使われていた空間に縁もゆかりのない人が入ってくることで、新たな地域交流の場所になっていきました。住む人にとっては暮らしの延長線にあり、訪れる人にとっては地域に入る良い緩衝点になる場所。この両方が交わる場所。良いパブリック空間はまさにこういう場所から生まれるのだと思います。

「Public house and sauna Kumeya(パブリックハウス アンド サウナ 久米屋)」はこれら地域交流の火付け役となり、ナカウテを訪れる様々な人と地域を繋ぐ新しい公共の家です。

久米屋では蔵サウナを楽しめる農家民泊サウナを五感で楽しむためのサウナクラフト体験サウナや古民家に関わる建築ワークショップなどを用意しています。ぜひナカウテに一度遊びに来てください。